事業・組織マネジメントの経験を持つ

アジャイルコンサルタント

Agile Studio プロデューサー

​木下 史彦

  • Scrum Trainer

  • 認定 Scrum at Scale

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認定 Scrum at Scale
木下史彦

2005年頃からアジャイル開発を現場で実践してきました。その中で人のチカラを最大限に活かし、自分たちのやり方を自分たちで考えて工夫していけるということこそがアジャイル開発の最大の魅力だと気づきました。
現在は「まっとうなアジャイル」の実践を通じて人や組織をいきいきとさせることを目標に日々コンサルティング、コーチング活動に従事しています。

​翻訳
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『アジャイルプラクティス』

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『アート・オブ・アジャイルデベロップメント』

​ブログ
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動画
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提供サービス
講演・勉強会
  • 講演「受託から共創へ」

  • 講演「アジャイルと契約」

  • 講演「アジャイルムーブメントの歴史」

  • 勉強会「エクストリームプログラミング入門」

  • 勉強会「アジャイルと品質」

  • 勉強会「ドメイン駆動開発入門」

  • 勉強会「大規模アジャイル入門」

  • 勉強会「スクラムガイド読書会」

  • 勉強会「朝会」

  • 勉強会「ユーザーストーリー分割」

  • ワークショップ「アジャイルの価値原則」

  • ワークショップ「イースターエッグ」

  • ワークショップ「アジャイルクイズ アタック25」
     

コーチング実績
  • 自動車メーカー、通信キャリア、金融機関、医療機器メーカー、事務機器メーカー、医薬品メーカーなど20社以上
     

講演実績
  • Agile 2008 Conference (カナダ・トロント)

  • XP祭り 関西 2011 基調講演

  • XP祭り 関西 2016 基調講演

  • Developers Summit 2009

  • Developers Summit 2011

  • XP祭り、Agile Japan、DevLOVEなど、その他多数
     

発表資料
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発表4(アジャイルムーブメントの歴史).png
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インタビュー「木下史彦のコーチング哲学」

—— 木下さんがアジャイルコーチになったきっかけを教えてください。
 

アジャイルコーチには2種類の人がいるのかなと感じています。「アジャイル」から入ってきた人と「コーチ」から入ってきた人です。私は典型的な「アジャイル」から入ってきた人です。実は、コーチという点では特別な勉強や訓練はしていません。

私が実際にアジャイル開発を経験したのは2005年に遡ります。当時いた会社でXP(その当時は「アジャイル」とは言わずに「XP」と言っていました)を試行するプロジェクトがあり、私は開発者としてそのプロジェクトのメンバーになりました。これが私の「アジャイル」原体験です。そのプロジェクトを通して得たことは、こんな仕事の仕方があるんだという驚きと発見でした。

 

  • チームの仕事を自分たちで決めていける

  • 無限に工夫の余地がある

  • 仕事を楽しむという姿勢

これらのどれをとっても「アジャイル」と出会う前の仕事のやりかたとは180度違うものでした。自分の価値観が大きく変わってしまいました。

 

その後、よりアジャイル開発の世界を極めたいと思い、永和システムマネジメントに入りました。

 

アジャイルコミュニティのイベントではじめて人前で発表したのは2006年のXP祭りです。初舞台がXP祭りだったのです。私自身のXPの体験談を発表したところいい反響をいただくことができ、自分にも人に伝えられることがあるんだという自信になりました。

 

その後、永和システムマネジメントの中では開発者としていくつかのプロジェクトを経験しました。アジャイルコーチという立場ではじめてプロジェクトに入ったのは2009年のことです。当時はすでにグループ長という役職がついており、いわゆるマネージャですので現場に出て行く立場ではなかったのですが、グループ長職と二足の草鞋でアジャイルコーチとして現場に出かけていきました。
 

—— どうしてそこまでしてアジャイルコーチをやろうと思ったのですか?
 

それはやはり先ほど言った「アジャイル」の原体験、それから、それに続く2006年のXP祭りでの発表の反響があります。自分の価値観が大きく変わった、そんな体験を多くの人にもしてほしいと思ったからです。
 

—— その後、永和システムマネジメント アジャイル事業部を立ち上げ、事業部長になられましたが、事業部長のときの経験はアジャイルコーチの実践にも役立っているのでしょうか?
 

それはもちろん役立っています。事業責任者が抱えるジレンマを自分自身が経験していますので、これほど事業責任者に共感できるアジャイルコーチは他にいないんじゃないかと思っています。

「上が分かってくれない」という声をよく聞きますが、アジャイルコーチとして組織の上に立つ立場の人と話をしていると、分かっていないのではなくアジャイルのことや現場のことを理解されている方が大勢いらっしゃると感じています。無知でも無能でもありません。分かっているけどできないというのが正直なところだと思います。なぜなら直面している課題が「技術的問題」ではなく「適応課題」だからです。

私自身はこのことが痛いほどよく分かりますので、適応課題に直面している経営者の方や管理職の方の相談に真摯に向き合うようにしています。
 

—— 木下さんがアジャイルコーチとして「嬉しく」思うときはどんなときでしょうか?
 

人の行動や価値観が変わっていくのを見るのは嬉しいです。

小さな変化なのですが、あまりしゃべらなかった人が少しずつ発言するようになったり、主体的に動けるようになっていくのを見るのは嬉しいです。

最近はチームの立ち上げ支援だけでなく組織的な支援も行っていますので、経営者やマネージャの方とお話しする機会も多いです。そういった方々のマインドが「アジャイル」なマインドになっていくのを見るのも嬉しいです。

ある現場に支援に入っていたとき、支援開始から2ヶ月くらいしたときにマネージャの方から「アジャイルに関して勘違いしてました。環境や技術を導入すればできるようになると思っていたけど、人の変化が大事なんですね。木下さんがやっていることを見て気づきました」と言われたことがありました。これを言われたときは確実に伝わっていると感じ、心の中でガッツポーズをきめました。
 

—— 木下さんのアジャイルコーチとしてチームメンバーまたはクライアントを導きたい結果を教えてください。
 

次の3つです。

 

  1. 自分の頭で考えられるようになる

  2. 言うべきことを言えるようになる

  3. 自ら責任を引き受けられるようになる

 

冒頭で私は「コーチ」ではなく「アジャイル」から入ってきたアジャイルコーチであるとお伝えしました。こんなことを言うと混乱させてしまうかもしれませんが、「アジャイル」でもないんです。

 

私はお客さまと一緒にお客さまの課題解決に取り組んでいきたいと考えています。その際に、「アジャイル」が唯一の正しい方法ではないと思っていますし、唯一の正しい「アジャイル」もありません。それぞれの組織や現場の課題を解決するために、それぞれのコンテキストにあわせて考えていく必要があります。ですから、正解を他人に求めず、自分の頭で考えられるようになるということが重要だと思っています。

 

それから、困難な課題ほどチームで取り組んでいく必要があります。このときに大事なのが言うべきことを言える関係だと思います。

 

そして、組織やチームの課題を自分事にし、自らが責任を引き受けるという姿勢が欠かせません。

 

それからもうひとつ追加するなら、社外とのつながりにも興味を持ってもらい、一緒にイベントに登壇して事例紹介ができるととても嬉しいです。
 

—— 木下さんのコーチングを見せてもらったのですが、すごく自然体でチームメンバーの方に接されていて、押し付け感がありませんでした。コーチングの特別な勉強はされていないということでしたが、どういうテクニックを使われているのでしょうか?
 

テクニックと言えるようなものはありません。強いて言うなら、私自信があまりコーチングを受けるのが好きではないということです。明らかにコーチングをされていると分かるような質問が苦手なんです。自分が苦手だと思うことは、自分がコーチングをするときにもやらないようにしています。

コーチングというよりは、課題に対して私自身もお客さまと一緒に考えて悩んでいると言った方がいいかもしれません。
 

—— 木下さんのコーチング哲学とはずばり何でしょうか?
 

「他人と過去は変えられないが自分と未来は変えられる。」

エリック・バーンの名言です。
アジャイルコーチをやっていると、知らず知らずでも他人を変えようとしてしまうことがあります。自分が苦しんだりもどかしがったりしているときはたいてい他人を変えようとしてしまっているときです。他人を変えるなんて傲慢です。私は自分が他人を変えようとしていると気づいたときは、謙虚になるんだ、と自分に言い聞かせています。

一方、次の言葉は私の好きなケント・ベックの『エクストリームプログラミング』の一節です。

「ツールや技法は何度も変化するが、大きく変化するわけではない。一方、人はゆっくりとだが、深く変化する。」

一見矛盾するようですが、矛盾はしていません。「人は他人には変えられないが、自分自身でゆっくりと深く変化する」と理解しています。人は変化するものだということを信じています。そうでないと「この人は向いていないからダメだ」という選別にしかならないからです。アジャイルコーチの仕事は人を変えることではなく、ゆっくりと深く変化しようとしている人の助けになることだと思っています。

組織やチームがアジャイルになるということは、その組織やチームを構成する人たち、ひとりひとりの考えや行動が変わることです。
特に組織の変革においては、リーダーの自己変容が重要です。

どのように変わるとよいかは、アジャイルコーチとしてチームメンバーまたはクライアントを導きたい結果のところでお話しした通りです。
 

—— 最後に、木下さんがアジャイルコーチとして実現したい世界とはどんな世界でしょうか?
 

私はソフトウェア開発者として自分のキャリアをスタートしました。その中で感じたのがソフトウェア開発というものが非常に誤解されているということです。「工程」「人工(にんく)」「作業」といった言葉に代表されるように、ソフトウェア開発が工業製品の大量生産のメタファで語られることが多いことに違和感を憶えていました。実際に、自分がソフトウェア開発で経験した世界は創造的かつ探索的であり、専門家の知識と協調によって成立するもので、大量生産のメタファとは対極にあるものでした。かつては、こうした誤解に対する反発心が自分の原動力になっていました。

ピーター・ドラッカーが知識労働者(ナレッジワーカー)という言葉をはじめて使ったのが1960年に発行された著書『新しい現実』の中でのことです。知識労働であるソフトウェア開発を大量生産を前提とした単純労働のように捉えることによる誤謬によって、ソフトウェア開発者が本来持つ創造性を発揮できていないのではないかと考えるようになりました。

そのうち、さまざまな業種・業態のお客さまと接しているうちに、これはソフトウェア開発者だけの問題ではなく、あらゆる知識労働者にとって共通する問題であることを知るようになりました。

こういった経験も踏まえ、私が実現したい世界は、あらゆる知識労働者がいきいきと創造的に働ける世界を実現することです。