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  • 平鍋健児

DBIC VISION PAPER 2 を読んで -- 日本とSmall Smart Nations の比較(1/2)

更新日:2月17日

元東京海上日動の常務,元JISA 会長である,横塚さんが運営するDBIC (Digital Business Innovation Center) から,日本の DX に向けての VISION PAPER2 が出ていて,これがとても面白かったので紹介します.


特に,ベンチマークとしての「北欧小国(デンマーク,スウェーデン,スイス)+シンガポール」という視点がユニーク.米国やEUど真ん中の国々ではない.これらの国々を,


SSN's - Small Smart Nations 賢い小国たち

と呼び,「IMD 世界競争力調査」から彼らがどのようにDXを捉え,活動しているのか,を数値とインタビューで分析しています.さらに最後に日本の経営が取るべき指針を提言しています.無料でPDFが配布されているので,特に経営に携わる方,日本の今後に思いを馳せる方はぜひ読んでみてください.

https://www.dbic.jp/news/2020/07/visionpaper.html


いくつか,面白かった点を紹介したいと思います.


SNN's

まず,これらの4国をなぜピックアップしたか.人口は足しても3,000万人で日本よりかなり小さいんです.しかし,これらの4国,SNN's は,

  • ユニコーン企業(時価総額1,000億以上スタートアップ)の数は4国で30社(日本より圧倒的に多い),とシリコンバレーに次ぐ高い排出率.

  • 給与水準・物価も高く,ラーメン1杯1,500円

  • 有給休暇は5-6週間で取得率100%.(病欠は別途)

と高い水準.まず,レポートに掲載されている,これらの国々と日本の世界競争力ランキング(30年の推移)(IMD世界競争力ランキングをもとに DBIC が作成)を引用して,もう一度「愕然と」することから始めよう.

もう,日本が低いことにはここまで来て驚かないです.しかし,比較が米国でなく,中国でもない.日本に比べて SNN's がとても健闘していることが伺えます.ここから何か,ユニークなヒントを得られないでしょうか....というのがこのペーパーの趣旨です.


競争力の因子別考察(日本は何が弱いか)

IMDの競争力は,以下の4つの構成因子とさらにそれぞれ5つのサブ因子,計20の因子合計からなります.

  • 因子1:経済パフォーマンス

  • 因子2:政府の効率性

  • 因子3:ビジネスの効率性

  • 因子4:インフラストラクチャー

これら毎に,各国の強みと日本を比較している部分が,この VISION PAPER の最初の白眉なので,ぜひ,読んでみていただきたいと思います.ここでは目についた分析点をいくつか簡単に紹介します.

  • 経済パフォーマンス(8位) 日本は全体(64国中)8位とそれでも健闘しているのですがサブ因子の「国際貿易」が圧倒的に他に負けていて,43位.SSN's は国内経済を頼りにしていない.ここが決定的に違うのだと発見します.

  • 政府の効率性(41位) 日本は41位と散々です. SNN'sはすべて1桁位.特に,「企業法制」というサブ因子が劣っていて,日本は起業や投資に関する誘導施策が弱いようです.

  • ビジネスの効率性(48位) 日本は48位と散々です. SNN'sはすべて1桁位.「経営慣行」というサブ因子,に含まれる,市場変化への感度,および,企業の俊敏性が特に弱いと.ここもなるほど.

  • インフラストラクチャー(22位) 科学インフラや健康インフラは全体の一桁位に入るものの,技術インフラのサブ因子である,「官民連携」が弱く,この部分で日本本は42位.他のSNN'sはすべて一桁位.とてもよく分かる.

さて,ここまでが前半のダイジェストです.政府やビジネスの効率性でとても大きく水を開けられている点は,実感が大きいですね.しかし,経済因子の中の「雇用」や,インフラ因子の中の「健康インフラ」など,優秀な部分もかなりあるんです.しかし,デジタルやビジネス変革となると圧倒的に弱い.本当に弱い....


何を感じるべきか?

このレポートの前がきは,日本が持つべき危機感として,ローマ帝国の衰退を引用し,

あれだけ栄華を誇ったローマも色々な分析がなされているように,国民が「パンとサーカス」を求めるようになり自らの衰退を招いたといわれる.現在のパンは政府支給のクーポン,サーカスはお笑い芸人で埋まるテレビやオリパラリンピック,万博,カジノなどと言えるのではないだろうか.

としています.笑えない...


そして,今日本は「グレートリセット」を必要としているのだと.そしてそのモデルがこの SNN's 分析から行えるのではないか,というのが論旨です.4小国 SNN's と日本の比較分析の後に,各国のインタビュー,そして提言と続くとても読み応えのある100ページでした.


次回は,提言部分について.




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