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  • 岡島幸男

3時間30分でScrumのエッセンスを掴んでもらう方法

ディレクターの岡島です。


Agile Studioでは、毎年6月に、新入社員を中心とした若手のエンジニアに対して、Scrumの研修を実施しています。直接的な目的は、7月から始まる新人チームによる実習課題(新人だけのScrumチームでちょっとしたプロダクトを開発する)をスムーズにスタートするためなので、時間は3時間と短めです。


ただ、せっかくの機会なので、より有意義に、より効率的に進めたいものです。書籍を読めば知ることができる知識を詰め込んでも仕方ないですが、かといって、3時間では体験型の開発ワークショップをするには辛い…。


で、どうしているかというと。はい、お察しの通り、この研修自体をScrumに則って実施しています。以降、進め方(やったこと)を実際の時間軸に沿ってご紹介していきます。ちなみに、場所はオンラインで、miroをホワイトボード(かんばん)として利用しました。


チェックイン:13時~13時15分

今回は新入社員2名+技術転換中の若手3名の合計5名が参加しました。コロナ禍のせいもあり年次が違うと接点がないので、自己紹介からスタートします。それぞれ、miroの付箋紙に、名前とScrumやアジャイルに関する経験を簡単に書いてもらい、それぞれに説明してもらいます。当社はインターンや入社後も様々な機会でアジャイルへの接点を作るので、概念や用語を全く知らない人はいませんでした(スクラムマスターやプロダクトオーナーやスプリントについては大まかな知識あり)。ただ、実務経験のある人はごくわずかです。


キックオフ:13時15分~14時

今回の研修の進め方を説明します。要は「研修自体がScrumである」ということを理解してもらいます。ここで大事なのは「Why」。なぜ、網羅的に知識を伝える方式をとらないのか、それは、参加者みなさんがプロダクトオーナーであり、みなさんが知りたいことを時間の許す限り伝え教えたいからです、ということをこの段階でしっかり伝えます。


そして、プロダクトバックログアイテム=参加者が知りたいこと、を付箋に書き出してもらい、miroに張り付けてもらいます。もちろん「バックログにはいつでも追加してもらっていいですからね。優先の変更もOK」という説明もしておきます。


次に、それぞれのバックログアイテムの見積もりを行います。見積もりは、開発者役である私がポイントを使って行いました。「相対的に」「深く考えすぎず」などの説明をしながら、それぞれの付箋に、2とか3など、ポイントを追記しました。


最後に、チーフプロダクトオーナーを決めます。サービスを受ける側である参加者が全員プロダクトオーナーなのですが、実際のScrumではプロダクトオーナーは一人です。なので、今回は生まれ日の早い人をチーフとしましょう!というルールでチーフプロダクトオーナーを決めました。チーフがバックログの優先度を変更できる権限を持つことを説明しつつ、他の参加者もチーフに意見や希望を言ってよいことを伝えました。


最終的なバックログのボード。質問が出やすくなるようバックログに3つのカテゴリを設けてある。

スプリント1:14時~14時30分

スプリントの時間は30分としました。この30分で、プランニング⇒講義⇒レビュー⇒ふりかえり、を実施します。


最初のスプリントなので、講師の私にもどの程度ベロシティが出るかわかりません。そのことを伝えて、チーフプロダクトオーナー役に、適当な数だけプロダクトバックログから、スプリントバックログまで付箋紙を移動してもらいます。


あとは、時間の許す限り、精一杯質問に答えていきます。必要に応じて資料を画面共有するなど、ありとあらゆる手段を使います。もちろん、講師だけがしゃべりっぱなしにならないよう、適宜質問をはさみながら進めました。


そして、回答が終わった段階で、質問を書いてくれた人が満足したかどうか確認します(これがスプリントレビューです)。


と、このように続けていくのですが、私もついつい熱が入り、スプリントの時間が30分に収まりませんでした。これではまずいですね。改善が必要です。時間がオーバーしちゃったね、とか、〇〇が具体的で良かったです、など、今回は時間の関係でKPTなどではなく、会話しながらふりかえっていきました。


スプリント2~3:14時30分~16時

最初のスプリントを終えることで、私たちの講義のベロシティは7Pであることがわかったので、2回目のスプリントでは、7Pだけの付箋を、スプリントバックログに移動します。

その際、チーフプロダクトオーナー役が、「誰かどうしても聞いておきたいことないですか?」など、他のメンバーに声かけてできていたのが良かったです。


その際、「スクラムの流れをおさらいしたい!(5P)」というバックログアイテムに書かれていることを知りたいと発言した参加者がいました。ただ、この時点でいくつか優先度の高いアイテムが選ばれており、5Pは大きすぎてこのスプリントに入れることができません。


で、ここで実施したのがリファインメントです。リファインメントの概念を説明しながら、開発者役の私が、PO役の参加者にインタビューしていきます。「流れ、とありますが、具体的にはどのようなことですか?」「おさらい、ということは、ある程度前提知識があるかと思うのですが、それは何ですか?」などです。


結果的に、「スクラムの用語についておさらいしたい!」という質問にリファインメントすることができました。これなら2Pで回答できそうなので、このスプリントで実施することができそうです。


というように、状況に応じて、Scrumの概念や用語を、自分たちがやっていることに合わせて説明していくことができます。ちなみに私も「最初からリファインメントをこのようなシナリオで盛り込もう」と考えていたわけではありません。うまい具合にPOである参加者とのコミュニケーションから、彼らの困りごとにフィットできました。同じ現場での頻繁な対話の重要性を実感します。


大ふりかえり:16時~16時30分

予定した時間(スプリント回数。やや時間オーバーでしたが…)を終えたので、最後に「大ふりかえり」と称して、今回の講義全体のふりかえりをFunDoneLearnで行いました。


  • 研修自体がスクラム形式だったので、わかりやすかった!

  • バックログの分割を差し込むなど臨機応変な講習でわかりやすかった

  • 話を振ってくれたので発言しやすい

  • スクラムの各役割について改めて学べた

  • POは大事

  • 成功・失敗の具体例を知れた

などなど、素敵なコメントをもらうことができました。ちなみに今回は社員向けの研修なので「Agile Studio(永和)ならではの事情」についても、事例やデータ含め、すべて回答しています。このあたりも、参加者のニーズを優先するScrumによるScrum研修の良さ、特徴なのだと思います。


いかがだったでしょうか?3時間という短い時間でしたが、効率よく、楽しくScrumを学べたようで何よりです。若干の前提知識が必要な点(とはいえ、入社数か月レベル)、網羅的な学習にはならない可能性がある点、教える側のレベルなど、万能な方法ではないかもしれませんが、実務に入った後にフォローアップ的に再度実施するなどの手段で、補うことはできると考えます。みなさんの参考になれば幸いです。


最後に、研修後に参加者がチャットに流した「アジャイル研修めっちゃためになりました」という一言が、とてもうれしかったです。ポジティブフィードバック大切ですね





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