- 川西真紀
(イベントレポート)『アジャイルコーチ対談 組織を変えるヒントとは』第2弾
こんにちは。Agile Studio マーケティング担当の川西です。
前回は、8/20(木)にAgile Studio リニューアル記念イベントとして開催されたウェビナーの対談テーマの1つ目「アジャイルコーチの意義」についてお届けしました。
今回は3つある対談テーマの2つ目「リーダーシップ(チェンジリーダー)」について詳しい対談内容をお届けします。

(岡島)
最近、50人くらいの規模だったり、会社のポジション的にも上の方からの相談が多いということで、組織的な導入がより難しい方に行っているのではないかと感じています。そこでリーダーシップというのがすごく大切になってくると思います。ここでいうリーダーシップとは、コーチとしてのリーダシップというよりは、アジャイルチームだったりアジャイルチームの周りの人たちステークホルダーの方々のリーダーシップです。俗にいうチェンジリーダーという人たちに必要だったり関わりがあるということなんですが、お二人が関わってきたお客様の話で、こういうリーダーはよかったな、ああいうリーダー困ったなのエピソードがあったら教えてください。
(天野)
コーチと名乗って初めてやったプロジェクトマネージャーの役職の人が、まさにいいリーダーシップを発揮してくれたというのが記憶にあって、当時10何年前なのでパーティションで区切られた個人のスペースで仕事しているような会社だったのですが、行った初日にやってくれたのが、パーティションをとりはずしてくれたことです。みんながやろうとしてくれていることをマネージャが後押しするように行動してくれて、マネージャとしてのリーダーシップを感じました。言うだけではなく実際に外す作業をその人がやってくれてすごいなと感じました。
(木下)
昔入っていたチームのプロダクトオーナーの方で、最初は結構アジャイル開発に懐疑的で、プロジェクトの全体像が見えづらくなるとか、進捗をどうやって把握するんだというようなことをいろいろ言われていました。支援をして関係づくりをしていくとどこかでアジャイルスクラムいいものだと思っていただけたみたいで、ご自身もこの方向で推進していこうという気持ちになっていただけました。ある日の朝会で印象に残っていたのは、「教えてもらったことをそのままやっているだけではだめだ」「もっと自分たちで考えてやろう」と最終的にはメンバーを鼓舞することをおっしゃっていたことです。スクラムマスターではなくプロダクトオーナーなんですけど、そういうことをメンバーに言ったり気持ちをぶつけられて、半年入っていたのですが、私がいなくなるときに最後は涙されていました。
(岡島)
アジャイルコーチはプロダクトオーナーにはよきプロダクトオーナーとしてのふるまいなども含めてコーチすると思うのですが、教わったことではだめだと変わったきっかけは?その方の資質も当然あると思いますが、テクニックというよりもマインドが伝わったポイントはありますか?
(木下)
なんか少しずつチームが変わっていくのを目の当たりにしたりして、いい意味でアジャイルに持っているイメージが違ったのだと思います。プロジェクトの全体像も把握できるし、プロジェクトの状況も分かるし、こういう風にしていけば自分たちが目指す品質も確保できることがわかってきたのだと思います。
(岡島)
チームが昔と変わってずいぶん良くなったというのをPOとしても実感して、そういうことかというのを気づいていただけて、良きリーダーに変わっていただいたような感じなのですか?
(木下)
本来はプロダクトオーナーではなくてスクラムマスターの仕事で、メンバーから言ってほしかったというのもありますが、何か高まったんだと思います。
(岡島)
そういうリーダーシップを持たれる方が全くいない現場ってあるのですか?大概いらっしゃるのか、そういう人を探して育てるのかどんな感じなのですか?支援先だと必ずキーマンっていると思いますが。
(木下)
見つけて発掘します。
(天野)
見えてくる感じはあります。やっていると頭一つ抜けてくるというか動きが違うなというのが見えてくる感じはします。すぐには見えないので、いろいろ関係作りをしていくのが大事です。いろんな人が見えてきて、この人はプログラマーの方があっているなとか、この人はスクラムマスター向きなのでないかとなってきます。スクラムで考えるのであれば、誰をスクラムマスターにしたらよいかというのをみんなで話をすると、だいたいそういう人が選ばれて、その人が変わった瞬間次のステップのチームに変わるというのを見てきました。
(岡島)
最初から「あの人スクラムマスター」ではなくて、途中から見出されることもあるのですか?
(天野)
「主任だからスクラムマスター」ではないし、「課長だからプロダクトオーナー」ではないです。
(木下)
役職でスクラムマスターを決められてしまうのが最近の課題です。
(岡島)
役職でそういうものになりがちなんですね。
(木下)
最近はなりがちです。だんだんわかってもらって、3か月やってそれ違いますからとようやくわかって、じゃ次のクォーターは変えてみましょうかという話になります。
(天野)
リーダーシップという意味ではさっきのいいリーダなんですけど、全部がいいわけでなくすごく空回りしてしまうこともあります。がんばって声かけてやろうやろうと言うが、やっぱり懐疑的な人が離れていって、そっち側に寄る人と寄らない人が分かれてきてしまいます。8~9人くらいのチームだったのですが、なんとなく分かれてきたということがあって、懐疑的な人はマネージャーが話していると黙ってしまって、その意見に対して賛成か、反対かの反応もなく、マネージャーも間が持たなくなってすぐ話始めてしまいます。マネージャーに「ちょっとうるさい」と言ったら、それが衝撃的だったみたいで無理にしゃべらなくていいんだと思われたようです。メンバーにはそう思っているんだったらうなづくだけでもいいって言ったら、それでも肯定の意見示せるんですねとそこでうれしく思ってくれたようです。リーダー職になると一人ぼっちになってしまうこともあると思うのですが、最近「アジャイルジャーニー」といって「伴走する」というのをコンセプトにしているんですけど、そういうことが重要だと思っています。
そういう人たちが結局組織を変えるのにつながっていくのかなと思います。
(岡島)
必ずリーダーシップを持った人は見つかるはずだという信念でお二人やられているということですかね?
(木下)
そういう人を育てたり見つけたりするのが仕事なのではないかという気がしてきました。
(岡島)
コーチが支援先にいつまでもいれるわけではないので、支援先組織のリーダーシップを高めるところも重要な役割だとお二人とも思っています。それにはそれなりに時間もかかるし、当初思った人と違う人がリーダーシップを発揮することも全然普通にあるということですね。
今回は以上となります。
印象に残った言葉は「主任だからスクラムマスター」ではないし、「課長だからプロダクトオーナー」ではないです。役職でスクラムマスターを決められてしまうのが最近の課題のようですが、いろいろ関係づくりをして、適任者を見つけ出すのもコーチの仕事なのだと思いました。
次回はいよいよ最終回となります対談テーマの3つ目「組織変革とその難しさ」について、詳しい対談内容をお届けします。