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  • 岡島幸男

なぜAgileStudioではエンジニアも内製化を支援するのか

最終更新: 4月19日

岡島です。


4月7日に発売された「アジャイル開発とスクラム 第2版」に、ANAシステムズ(ASY)様とAgile Studio における共創型アジャイル受託開発の事例を寄稿させていただきました。

主役はもちろん現場で苦楽を共にしたASYさんと当社のメンバーなのですが、2年におよぶASYさんとの共創関係の立ち上げに関わった身として、私も執筆陣に加えていただきました。

事例の詳細は是非本を読んでいただくとして、今回は、Agile Studioサービスの特色の一つでもある内製化支援について、想いを語っていこうと思います。


なぜエンジニアが内製化を支援するのか?

通常、例えば事業会社が内製化を実現したい場合は、アジャイルコーチを招聘することが多いかと思います。これまで、外部に委託していた部分を内部のエンジニアが開発できるよう必要なスキルを習得するだけでなく、ビジネスとの距離を縮めワンチームになるためのマインドを身に着けることも達成目標となるでしょう。


もちろん、Agile Studioのコーチもこのような支援を行っておりますが、私たちは、エンジニアチームによる内製化支援も行っております。

が、ここで疑問を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。


なんで受託ソフトウェア会社なのに内製化を支援するのか?


このように思われる方も多いかと思います。

この質問には、二つの切り口でお答えしたいと思います。


まずは、


それが顧客が求めることであり私たちのビジョンだから


です。


Agile Studio の成り立ちからご説明させてください。元々Agile Studio は、2018年に設立された、Agile Studio Fukui という開発拠点からスタートしています。日本でも高まりを見せるアジャイル開発へのニーズに応えつつ、スピード感や一体感など課題が多い受発注に基づく開発をよりよくするために、「顧客(事業企業)とベンダー(ITパートナー)が、同じ場所に集まって、共に創り共に育つこと」を理念に掲げ、まさにそのための場所を自分たちで作ったのです。

(共創・共育のコンセプト。Agile Studio Fukuiはその実現系)


私たちはこのように、2018年の設立時から、共創の理念の元、顧客と同じ場所でアジャイルに開発することを続けております。※ 永和システムマネジメントとしてのアジャイル開発への取り組みは、遅くとも2003年には始めております。


(Agile Studio Fukuiの様子。顧客のかんばんが掲げてある)


現在いただいているご相談の量や質を、Agile Studio Fukui設立時と比べるだけでも、DXとそれを支えるアジャイルな内製開発への関心・ニーズの高まりを実感しています。


もちろん、事業会社によるアジャイル開発へのニーズは、100%内製だけでなく、準委任契約による共同開発(現時点ではこちらのスタイルのほうがまだ多い感覚があります)にも波及しています( Agile Studio は内製化支援専門ではなく、POはお客さま、開発者は私どものアジャイル開発支援も行っております)。


なので、「内製化が進むことは、自分たちの仕事を減らすことに繋がるのではないか」、との疑問に対しては、「十分市場が広がっているので大丈夫です」とお答えできます。


このような状況がどう変化していくかはわかりませんが、顧客中心・少数精鋭を掲げる私たちにとって、内製化支援を通じて得られる体験はさらに自分たちを強くし、どのような環境にも対応できるチームになれると確信しております。


二つ目の回答は、


エンジニアによる支援ならではのメリットがある


となります。


アジャイル開発に限らず、成果を出すチームには、良い「場」があります。ここでの場とは、単に開発場所を意味するのではなく、メンバーそれぞれの相互主観性と関係性による情報流通を含む、野中郁次郎先生がおっしゃるところの「時空間と文脈」であります。


(アジャイルジャパン2010キーノートより)


ある意味、内製化支援の究極のゴールは、「良い場」を生み出す能力を内製チームに持っていただくことです。


私たちのエンジニアチーム(通常は複数名で内製化支援を担当するのでこのように書きます)によって、「良い場に必要な素材」を、対象となるチームに早めに持ち込めると考えます。私たちのエンジニアの仕事の進め方や哲学、そこで生み出される情報、例えばチームビルディングにおける会話などが全て、将来の内製化チームが生み出す良い場の素材になります。


ただしあくまで、持ち込めるのは「素材」であって、「場」そのものではありません。私たちのエンジニアと、お客様のエンジニアとの関係性ができあがり、実際に成果を生み出し始めてからが、本当の場づくりのスタートです。

表現を変えて説明すると、「途中までできあがっている場」に、お客様エンジニアに加わっていただくイメージになるでしょうか。これにより、比較的スピーディーに、モダンでアジャイルな開発の場を、実感することができると考えます。


もちろん、私たちは素材の一つとして、様々なプラクティスやツールも持ちこみます。リモート開発が中心となっている今は、例えば、miroのようなオンラインホワイトボードのうまい使い方や、Zoomを使ったミーティングの進め方などの具体的なノウハウやパターンを共有することができます。


さらに、私たちAgile Studioのエンジニアは、常に当社社員の技術転換を支援することで、社内で内製化支援を実践し、フィードバックをもらって磨き続けています。これはある意味ドッグフーディングであり、私たちが自信をもって「良い場の素材」を提供し続けられる根拠となっています。


制約の中で成功させるために


ここまでの説明から分かっていただけるかと思いますが、私たちの理想の卒業判断は、「自分たちが抜けても良い場が続けられるようになったか」となります。ただ、現実的には時間や費用などの制約の中での活動となります。例えば、6か月で全員がDevOpsのエキスパートになるのは、現実的でないかもしれません。


ただ、実はそれはお客様の期待や常識ではなく、私たちの期待や常識かもしれません。このような行き違いによる無駄をなるだけ避けるために、意思はできるだけ早めに、クリアに疎通しておく必要があります。


そのために、私たちが最初にお客様にお願いしたいのは、「〇〇な内製チームを実現したい」の〇〇を決めていただくことです。これはお客様の内製チームに対するビジョンやミッションであり、いわば、私たちが持ち込めない素材です。


できれば、(「100%内製化」のような)量的なだけはなく、質的に具体的であると嬉しいです。例えば「自分たちだけでモバイルアプリの開発から保守までできるチーム」など。ここまで具体的に会話ができれば、「それではAPIは私たちで担当しましょうか」などの代替的なご提案もでき、現実的なスケジュール感で内製化に向けた転換が進む可能性が高まります。


実際コロナ禍の状況において、人材の有効活用のために内製シフトを検討される会社さんは増えているかと思います。そのような局面において、まったく開発経験のない人をフルスタックに近い形で内製化する目標は無理があります。そのような場合は、「ノーコードツールを利用して、事業部門だけでアプリを内製できるようにしたい(ただし、バックエンドはシステム部門とベンダーのチームに任せたい)」という選択肢のほうが現実的だと思われます。


このように、一口に「内製化」といっても、そのゴールやミッションはお客様によって様々です。私たちは、現実の制約の中で、最適で最良の場づくりに貢献すべく、今後も引き続き、エンジニアによる内製化支援を広め、発展させるために研鑽していきます。

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